画像データを基に、AIにさまざまな判断をさせるには?
Vol.4

画像データを基に、AIにさまざまな判断をさせるには?

answer
画像解析を活用して、画像から多数の情報を読み取らせます。

自動車の自動運転をはじめ、多くの分野で注目を集めている画像解析技術。事業を展開する中で画像解析技術の蓄積を進めてきたNTTデータCCSでは、新しい用途への応用というかたちで、研究の成果が広がりつつあります。今回は、画像解析の研究開発を進める社会・科学システム事業部システム開発部の竹本さんに、お話を伺いました。
※この記事の内容はすべて、取材が行われた当時のものです。

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竹本さん

ビジネスソリューション事業本部
社会・科学システム事業部
システム開発部(当時)

竹本 宏

Hiroshi Takemoto

question
そもそも画像解析って何ですか?
answer
AI(人工知能)を使って、画像を解析する技術のことです。

竹本 人工知能の進歩により、画像解析は現在、さまざまな分野で活躍しています。例えば自動車の自動運転技術では、カメラが捉えた映像から周囲の自動車や歩行者の姿を割り出してそこまでの距離を算出し、停止したり、避けたりといった次の操作の判断を下しています。この「周囲の対象物を割り出す」「対象物の距離を算出する」という部分が画像解析技術に相当するわけです。

画像解析が用いられている技術
question
画像解析に関して、NTTデータCCSにはどんな知見があるんですか?
answer
地質解析を目的に研究を進めてきたことから、地形把握などに関するノウハウがあります。

竹本 NTTデータCCSは「NTTデータCCSのあゆみ」にもあるように、元々石油類の精製・油田開発を行っていた企業から誕生しました。そのため古くから油田探査のための地質解析を目的とした、画像解析技術を研究してきました。おかげで画像解析の中でも特に地形を読み取る技術に優れていて、月面や海底の探査に技術を活用したり、カメラをドローンに載せて地図会社さんのお手伝いをしたり、といった業務も手がけてきました。昨年からは顧客である茨城県さんの要請を受け、稲作での活用を模索し始めています。

竹本さん

画像解析の中でも、特に
地形を読み取る技術が
優れています

question
稲作ではどういう場面で技術を活用しているんですか?
answer
田植えの後に肥料を追加で与える“追肥”という、長年のカン・コツが必要で、米作りになくてはならない作業で活用しています。

竹本 田植えの後、稲に追加で肥料を与える作業を“追肥”と呼びます。これはお米の収穫量と品質を高める上で非常に大切な作業なのですが、この追肥は稲が穂を出す10日前に行うのがベスト。おいしいお米を作ろうとしたら、このベストのタイミングを正確に見極める必要があります。
追肥のタイミングは「稲がピンと立った頃」「稲がうっすら銀色に見える頃」といわれ、見極めが難しいため、これまでは熟練の農家の目に頼っていました。しかし、人があぜ道に入るのは大変な上、田んぼに入れば稲を傷めてしまったり、稲の病原菌を媒介させてしまったりするおそれがあります。そこで県では、省力化が図れ、他にデメリットがないドローンによる撮影と画像解析で代替できないか検討が進んでいました。

ドローン撮影と画像解析で
ベストなタイミングを
正確に見極められないか

竹本さん
question
具体的にはどういう技術なんですか?
answer
3つの要素を解析して、稲と田んぼの状態を探ります。

竹本 技術としては、“ドローンで上空から田んぼを撮影し、画像から「茎数」「稲の高さ」「稲の色味」を解析して、稲と田んぼの状態を探る”というものです。「稲の高さ」に関しては地形の探査と同じように視差角を利用。「稲がピンと立つ」様子も捉えられて、高いご評価をいただいています。

ドローンによる撮影とあ像解析
question
今後の展望を教えてください。
answer
IT技術で農業のバックアップ体制も強化していきます!

竹本 画像解析としては、技術の幅を広げてフォローできる範囲を広げていきたいと考えています。追肥では、ビッグデータを組み合わせて、撒くべき肥料の量まで通知できるシステムを作りたいですし、さらに農作物につく害虫の検知やその対策法の照会まで行えるような、トータルソリューションを提供していきたい。さらに農業クラウドと連携すれば、物流まで含めたトータルサポートが実現するでしょう。そうなれば農業人口の減少という社会課題の解決につながるかもしれません。
また、ドローンを活用した画像解析は伸びしろがあり、さまざまな展開が期待できます。今後、画像解析の用途を広げるにはさらに精密かつ正確な解析が必要ですが、そのためには深層学習により解析精度を高めていかなければいけません。
NTTデータCCSの強みを活かすとともに、グループ内外含めた連携により、社会課題の解決に努めていきます。