「こんなシステムが欲しい」というニーズを受けて開発を行うだけでなく、その手前の「そのビジネスやサービスを実現するにはどんなシステムが必要か」から考えて提案ができるのも、NTTデータCCSの強み。コミュニケーションスキルとITに関するナレッジを駆使してお客様の課題解決に貢献するITディレクターの2人に、その実態について聞いてみました。
※この記事の内容はすべて、取材が行われた当時のものです。
C.T 従来のシステム開発はお客様からRFP(提案依頼書※1)を提出していただいて、ご要望に沿ったシステムを開発し、納品するという流れが一般的でした。
しかし、これはお客様自身が「何を目指していて、それを解決するためにどんな技術要素やシステムが必要なのか」を把握していることが前提となるフロー。ユーザーのニーズが多様化し、技術そのものも日々進化を続けるITの世界で、最善のソリューションを選択することは年々難しくなってきています。そこで必要になるのが、ともに解決方法を模索できる存在。私たちITディレクターなんです。
橋本 最終的に目指すのはシステムの完成ではなく、その導入によってクライアントが期待していた効果がきちんと得られること。求められるスキルや与えられるハードルは高いですが、プロジェクト全体のクオリティをコントロールしたり、自分の方向性を打ち出したりすることができるので、やりがいも大きいですね。
「ITディレクター」やそれに類するポジションを持った人材は、IT業界の各所で活躍するようになりつつあります。そんな中で、NTTデータCCSのITディレクターが持つアドバンテージは、この会社が持つ幅広いスキルとノウハウ。さまざまな分野で開発を手がけるなかで蓄積してきた実績により、お客様の目指すサービスにぴったりのソリューションを提案できる引き出しの豊富さが自慢です。
C.T 私がNTTデータCCSに入社したのは2000年で、当時は「ITディレクター」というポジション自体がありませんでした。システムエンジニアとして働き始めて、受託開発業務を通じてプログラミングの経験を積み、2006年からはお客様先に常駐して開発支援を行うようになりました。それまでは、あらかじめ決められた要件を元にシステムを開発する仕事だったんです。でも、そこは新しいサービスをつくる現場。システムはもちろん、最終的にどんなサービスがベストなのか、誰にも分からない。ゴールが見えない状況で自分は何をすれば良いのか、最初は戸惑いましたね。指示を待っているうちにプロジェクトの進行に置いて行かれて、自分の存在価値が揺らぐような気持ちになったこともありました。
でも、ある時分かったんです。この現場に必要なのは一緒になってサービスそのものをつくっていく役割なんだと。受け身ではいけない──そう気付いてからはシステムエンジニアとしての役割に固執せず、視野を広く持ってプロジェクトに関わるようになりました。専門外のことも学び、関係各所との連携を深め、トライ&エラーを繰り返して開発を進めていきました。その甲斐あって、サービスは無事ローンチ。お客様にいただいた「社員よりも当事者意識が高いので、安心して任せることができました」という言葉は、今でも忘れられない宝物です。
橋本 ITディレクターという呼称ができたのは2010年ごろからでしょうか。それまで、システムエンジニアがC.Tさんのような幅広い役割を担うケースは、決して多くはなかったと思います。しかし、スマートデバイスやクラウドサービスが一般に普及したことで、次第に状況が変わってきました。「いまの技術なら、こんなサービスやこんな業務改善が簡単に実現できるのではないか」というお客様の期待感が高まってきたのです。一方で実際にシステムをつくろうとすると課題も多く、導入のハードルは高いものです。
さらに最近は、手軽に使えるSaaS※2の採用や、品質の高いオフショア開発※3の活用など、システム化を実現するための選択肢が増えています。同時に実現できることの幅が広がる半面、それらの取捨選択と実施&コントロールが非常に重要になってきています。このように、変化し続けるITを上手に使いこなす役割となるITディレクターの需要はさらに高まってきています。
橋本 前述のようにSaaSの多様化やオフショア開発の台頭により、2020年以降は国内においてプログラマーという職種が無くなるとまで言われています。変化に対応するために、今後はITディレクター人材が増えて、いずれ取捨選択される時代になると考えています。
NTTデータCCSでも、来るべき時代に備え、ITディレクターを中心とした組織づくりの検討を進めています。また、グローバルであり多様なソリューションを持つNTTデータグループというアドバンテージを活かし、より大きな付加価値を提供できるようにしていきたいですね。
「Request For Proposal」の略で、クライアント企業がシステム開発を行う際に、発注先の開発会社に具体的な提案を依頼するための資料のこと。システムの概要や依頼事項などが記述されており、開発会社はこれをもとに提案書を作成します。口頭での発注による開発現場の混乱を回避し、クライアントの意向を正しく伝達する手段として有効ですが、その作成には専門的な知識や経験が求められます。
「Software as a Service」の略で、インターネットを経由して必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるアプリケーションソフトウェアのこと。
情報システムやソフトウェアの開発業務を海外の事業者や海外子会社に委託・発注すること。
システム開発において、コンサルティングや設計、開発や運用などのさまざまな業務を行うシステムインテグレーターのこと。