電子レシートのさらなる普及と活用
紙を使用することなく、スマートフォンでデータ化した購入履歴を確認・管理する電子レシート。このサービスのさらなる普及と有効活用を目指して、新たな挑戦が始まっています。お客様やさまざまな業種のパートナー企業様と手を携え、かつてないミッションに挑むプロジェクトメンバーにお話をうかがいました。
※この記事の内容はすべて、取材が行われた2017年12月現在のものです。
買い物客は紙のレシートを管理するわずらわしさから解放され、店舗にとってはペーパーレスによるコストダウンや集客効果などが可能となる電子レシートサービス。近年、そのメリットに着目したさまざまな企業や団体が、積極的に導入を進めています。
その推進を図っている代表的な企業の一つが、NTTデータCCSのクライアントであり、POSレジメーカーとして国内トップシェアを誇る東芝テック株式会社様。2014年から自社製のPOSレジと連動させた電子レシートサービスの提供を開始し、着実に導入店舗とユーザー数を増やしてきました。そして2017年、当社はこのクライアントである東芝テック様と新たなチャレンジに踏み切ります。それは、電子レシートサービスを展開している他の企業と手を携え、集約するための環境を整えようという試み。さまざまなテクノロジーに強みを持つ企業も巻き込んで、得られたデータのさらなる有効活用も模索していきます。このプロジェクトについて、東芝テック様の技術サポート担当エンジニアである竹内さんはこう解説します。
「実現すれば、買い物客の利便性が向上するだけでなく、蓄積されていく膨大な購買履歴データを活かして、より魅力的なサービスや商品を生み出すこともできるようになる。社会的意義も、ビジネスとしての可能性も非常に大きいプロジェクトだと思います」
NTTデータCCSは、技術面からこのチャレンジをサポート。さまざまなパートナー企業とともに、購買履歴データを格納するデータセンターやデータを分析する基盤システム、そしてスマートフォン用アプリの開発などを担当しています。現在、2018年2月に行う実証実験に向けて着々と準備が進んでいます。
「実証実験には、東芝テック様と異なるメーカーのPOSレジを使っている小売店も参加します。仕様の違いを乗り越えて、同じフォーマットで買い物履歴が管理できるようにする必要がある。決して簡単なミッションではありませんが、やりがいは大きいですね」と竹内さんは語ります。
今回のプロジェクトにあたり、かつて東芝テック様の担当エンジニアを務め、電子レシート事業の将来性に着目していた中村さんもメンバーに加わりました。システム面の実務を担う竹内さんに対して、中村さんが務めるのはサブプロジェクトマネージャー。実証実験をより有意義なものにするべく、さまざまなパートナー企業とディスカッションを重ねています。
「『電子レシート』というテーマを中心に、各社の技術やサービスが結びついていくプロセスを目の当たりにするのは、非常に刺激的ですね」と語る中村さん。株式会社マネーフォワード様や大日本印刷株式会社様との協業により、購入履歴データを家計簿アプリと連動させるサービスとの連携も予定されています。
さらに、IoTを担う日本ユニシス株式会社様の参画により、店内カメラと連動したより詳細な購買行動──どんなお客さまが、どのくらいの時間をかけてどのように店内を移動し、最終的に何を買ったのか──を購買履歴データとひもづけることも可能になります。
「そこから得られる膨大なデータをAIで解析することで、今まで見えなかったニーズを掘り起こす。日本における第4次産業革命※の柱の一つにもなりうるプロジェクトだと考えています」と中村さんは力を込めます。
※第4次産業革命:蒸気機関の発明による工場の機械化(第1次産業革命)、電力を用いた大量生産(第2次産業革命)、電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化(第3次産業革命)に続く、IoTやAIをキーテクノロジーとする産業構造の変革のこと。
ふたりが所属するコンシューマシステム事業部の事業部長、福田さんが今回のプロジェクトに寄せる想いは並々ならぬものがあります。「新しいインフラをつくる仕事と言っても過言ではない、非常にスケールの大きな挑戦ですよね。お声がけいただいたことは非常に光栄ですし、何としてもお役に立ちたい」と意気込む福田さん。さらにその先に、コンシューマシステム事業部の未来を見すえています。
「デジタル分野の発展にともなって、既存のサービスやビジネスとテクノロジーを融合させる試みは、これからますます増えていくことでしょう。そうした中で私たちが果たすべき役割は、お客様のビジネスと最新技術によってどのような価値を生み出せるかを考え、提案すること。今回のプロジェクトは、メンバーにそれを実感してもらうきっかけもなると考えています」
実際、中村さんはパートナー企業の皆さんとの議論を通して、「もっとこんなことができるのでは?」というアイデアが生まれる瞬間を何度も経験したと言います。
「買い物をすることがもっと便利でもっと楽しい体験になる、そんな未来をつくっている実感があります。今回の実証実験でどこまでのことにチャレンジできるかはまだ検討中ですが、技術者冥利に尽きますね」。
一方、メンバーの変化を感じていると語るのは竹内さん。「より目先のシステム開発だけに囚われず、サービスリリース後にどのように利用され広がるか、その先にある未来を意識して最適な提案を行うようになりました。元々そういった視点をもったメンバーが集まっていましたが今回のプロジェクトで刺激を受け、新しい事業を生み出していくという事に対して深い関心を持ったと思います」
今はまず何よりも、お客様やパートナー企業とともに実証実験を成功に導くこと。そして、そこで得た経験やネットワークを糧に、これからの社会に貢献するサービスを生み出せる集団になること。かつてないミッションを完遂するため、メンバーの挑戦は続いていきます。